
OBJET
2016
この作品は、「OBJET」という言葉そのものを立体化することで、オブジェが自らを指し示す自己言及的な構造を成立させた作品です。 通常、言葉は何か別の対象を説明するために使われますが、ここでは文字列そのものが物体化され、その指示対象と一致しています。 つまり「OBJET」という表記は、この作品について語っているのではなく、そのままこの作品自身になっています。 造形は、文字を単なるサインとして扱うのではなく、厚みと量感を持つ構造体として成立するように構成されています。 それぞれの文字は読むための記号であると同時に、空間の中に置かれる彫刻的なユニットでもあり、言語と物体の境界が曖昧になります。 読むことと見ること、意味を理解することと形を知覚することが、ひとつの経験の中に重なっている点がこの作品の特徴です。 また、この自己言及性は単なる言葉遊びにとどまりません。 オブジェとは何か、作品とは何か、名前と実体の関係はどこで一致し、どこでずれるのかという問いを、きわめて明快な形で提示しています。 名前が後から与えられるのではなく、名前そのものが実体になっている。 この反転によって、作品は概念と物質のあいだを往復する存在になります。 この作品は、言葉を造形へ変換したのではなく、言葉と造形が同一のものとして立ち上がる地点を示した、自己言及的なオブジェです。