
TRASH TO TRACK
不要なデータを消すと、音楽になる。Androidアプリ「TRASH TO TRACK」を作りました スマートフォンには、いつの間にか大量のデータが溜まっていきます。 スクリーンショット。 使い終わった画像。 昔ダウンロードしたファイル。 もう必要のない動画や音声。 普通なら、それらは削除ボタンを押した瞬間に終わりです。 そこで、 「データを捨てる行為そのものを、何かを生み出す行為に変えられないか」 と考えて作ったのが、Androidアプリ TRASH TO TRACK です。 25MB捨てると、1曲作れる TRASH TO TRACKの基本ルールは、とても単純です。 25MBのデータを削除すると、1 TRACK分のクレジットが貯まります。 たとえば50MB削除すれば2曲分。 100MBなら4曲分。 アプリ内には「TRASH BANK」があり、削除したデータ量がそこに蓄積されていきます。 一定量まで貯まると、 1 TRACK READY 2 TRACKS READY というように、生成可能な曲数として表示されます。 不要なデータを減らすほど、音楽を作れるようになる仕組みです。 ゴミをそのままAIへ送るわけではありません TRASH TO TRACKでは、削除したファイルそのものをAIに投げ込んでいるわけではありません。 画像や文書などから、 データの種類 色や明暗 サイズ 時間的な特徴 抽象的な構造 といった情報を取り出し、それを ESSENCE と呼ぶ抽象的な特徴へ変換します。 そして、そのESSENCEを音楽生成の材料にします。 つまり、 DATA → ESSENCE → MUSIC という変換です。 削除したデータそのものではなく、そこに残った「痕跡」から音楽を作る、という考え方です。 PRIVATE MODE この仕組みではプライバシーも重要なので、PRIVATE MODEを標準でONにしています。 PRIVATE MODEでは、写真そのものや文章そのものではなく、できるだけ抽象化したESSENCEだけを利用します。 APIキーについても、アプリ側で共通キーを配る方式ではなく、ユーザー自身のキーを設定する BYOK(Bring Your Own Key)方式です。 DUBやTRIP HOPも生成できる 音楽のジャンルも選べます。 たとえば、 DUB なら、重いベース、空間系エフェクト、ディレイを中心に。 TRIP HOP なら、ダークなビート、遅めのテンポ、ざらついた質感。 といった方向で生成できます。 同じデータを捨てても、選んだジャンルによって全く違う音楽になります。 個人的には、TRASH TO TRACKというコンセプトとDUBやTRIP HOPの少し暗くて抽象的な音像は、かなり相性がいいと感じています。 生成した曲は普通のMP3として残る 生成された曲は、端末内の指定した音楽フォルダへ保存されます。 たとえば、 TRASH TO DUB TRASH TO TRIPHOP のようにジャンルごとに分けて保存することもできます。 アプリ内にはファイル移動機能もあり、生成後の曲を別のフォルダへ整理することもできます。 画面をOFFにした状態でも生成を継続できるよう、バックグラウンド生成にも対応しました。 削除アプリなので、安全性はかなり重視しました このアプリで一番怖いのは、 必要なデータまで間違えて消してしまうこと です。 そのため通常のタップでは削除できないようにしています。 ファイルを長押しして選択し、削除前には対象ファイルをもう一度レビュー。 さらに、最近作成・更新されたファイルには警告を出します。 そして実際に削除できたデータ量だけがTRACK CREDITとして加算されます。 単に「削除ボタンを押した量」ではなく、 本当に消えたデータだけを音楽へ変える というルールです。 ファイルマネージャーを作りたいわけではなかった 開発途中で、フォルダ移動、複数選択、削除確認、ファイルプレビューなどを追加していくうちに、一時期かなり「ファイルマネージャー」っぽくなりました。 でも、このアプリの中心はそこではありません。 TRASH TO TRACKでやりたいのは、 不要なものを選ぶ ↓ 捨てる ↓ その痕跡が蓄積される ↓ 音楽になる という流れです。 ファイル管理機能は、その体験を成立させるための補助機能にすぎません。 v0.6.0では、その原点へかなり戻しました。 デジタルの「捨てる」を再設計する 現実世界なら、古紙をリサイクルして新しい紙にしたり、廃材から家具を作ったりできます。 ところがデジタルデータは、削除した瞬間にほとんど意味を失います。 だったら、 デジタルデータにも「捨てた後」を作れないか。 TRASH TO TRACKは、そこから始まったアプリです。 容量を空けるという実用的な行為と、音楽を生成するという創造的な行為をひとつにつなげています。 不要だったものが、そのまま別の価値に変わる。 これは単なるストレージ整理アプリでも、単なるAI音楽生成アプリでもありません。 削除そのものを入力装置にした音楽生成アプリ だと思っています。 TRASH TO TRACK Android / BYOK / Gemini・Lyria GitHub: https://github.com/Masato-Nasu/TRASH-TO-TRACK 不要なデータが溜まってきたら、消すのではなく、 TRACKにする。 そんなアプリです。